ビジネスシーンで差がつく:美しいバッグの扱い方・基本所作
はじめに
日常の様々な場面で持ち歩くバッグは、単なる荷物を運ぶ道具にとどまらず、その扱い方一つで周囲に与える印象を大きく左右します。特にビジネスシーンにおいては、バッグの扱い方があなたの品格や周囲への配慮を示す指標となり得ます。
多忙な日々を送る中で、一つ一つの所作にまで意識を向けるのは容易ではないかもしれません。しかし、美しいバッグの扱い方を身につけることは、あなたの立ち居振る舞いに洗練された印象を与え、信頼感の向上にも繋がります。この記事では、ビジネスシーンで役立つ、バッグの美しい扱い方の基本所作と実践的なポイントを解説いたします。
基本となるバッグの持ち方・置き方
ビジネスバッグの扱い方には、立つ時、座る時、そして移動する時に意識したい基本があります。
立つ時・移動する時
- 基本の持ち方: ビジネスバッグは、利き手ではない方の手で持つのが一般的です。これにより、利き手は開いたままで、書類を渡したり、メモを取ったり、握手をしたりといった動作をスムーズに行うことができます。肩掛けやリュックタイプの場合も、体の中心にくるようにバランス良く持ち、揺れを抑える意識が大切です。
- 姿勢への意識: バッグを持つことで体のバランスが崩れやすいですが、背筋を伸ばし、胸を開くように意識すると、美しく安定した立ち姿・歩き方になります。バッグの重さで片方の肩が下がることのないよう注意しましょう。
座る時・会議室などでの置き方
- 床に置く場合: 椅子の横、自身の足元に置くのが基本です。この際、通路の邪魔にならないよう、また隣席の方のスペースを侵害しないよう配慮が必要です。バッグを置く際は、音を立てずに静かに下ろし、向きにも気を配りましょう。ビジネスバッグであれば、自立するタイプを選び、立てて置くとスマートです。
- 椅子に置く場合: 基本的には床に置くのが望ましいですが、床が汚れている場合や、書類を頻繁に出し入れする必要がある場合は、一時的に椅子に置くこともあります。その際は、自分が座る椅子の隣の空いている椅子、または自分の椅子の背もたれと背中の間に一時的に挟むなどの方法があります。ただし、これは状況によりますので、可能であれば床に置く、あるいは足元に置くことを優先しましょう。コートや荷物が多い場合は、椅子の背にかける、あるいは足元にまとめるなどの工夫が必要です。
- テーブルの上に置く場合: 基本的にビジネスシーンでテーブルの上にバッグを置くことはマナー違反とされます。商談や会食の場では、テーブルの上は食事や会話のためのスペースです。小さめのクラッチバッグや貴重品を入れたポーチなどは例外的に許容されることもありますが、ビジネスバッグはテーブルの下に置くようにしましょう。
美しいバッグの扱い方のポイント
単に基本を守るだけでなく、より美しく、洗練された印象を与えるためのポイントを掘り下げます。
- 静かに置く: バッグを床や椅子に置く際、音を立てないように静かに置くことが、落ち着きと丁寧さを示します。そっと床に下ろす、椅子の足元に滑り込ませるようなイメージです。
- 向きを整える: バッグを置く際は、ハンドル部分やポケットが自身の方を向くように置くと、必要なものを取り出しやすく、見た目も整然としてスマートです。
- スペースへの配慮: 会議室や狭い場所では、バッグが他の人の邪魔にならないか、通路を塞いでいないかを常に意識することが重要です。周囲への配慮は、所作の美しさに直結します。
- バッグの中身を整頓する: バッグの中が整理されていると、必要なものをスムーズに取り出すことができます。これは、バッグを開閉する際の所作にも落ち着きを与え、スマートな印象に繋がります。バッグを開けっ放しにしないことも大切です。
- 公共交通機関での配慮: 電車やバスの中では、網棚を利用するか、膝の上に置く、足元にコンパクトにまとめるなど、他の乗客の迷惑にならないような置き方を心がけましょう。リュックサックの場合は、前に抱えるなど、スペースへの配慮を示す所作が特に重要です。
ビジネスシーンでの実践例
- 会議室にて: 入室したら、指定された席の横、自身の足元に静かにバッグを置きます。書類を出す必要がある場合は、着席前にバッグを開き、必要なものだけを取り出しておくとスムーズです。会議中は、バッグから物を頻繁に出し入れするのではなく、必要な資料や筆記具は手元に置いておきましょう。
- 商談・打ち合わせにて: お客様や相手の席に近づく前にバッグを置き、両手を開けて挨拶に臨みます。着席後も、バッグは足元に置き、テーブルの上には必要な筆記具や資料のみを広げます。飲み物が出された際は、バッグにかからないよう注意しましょう。
- 会食にて: 基本的には椅子の足元か、椅子の背もたれと背中の間に置きます。レストランによっては荷物用のカゴを用意してくれる場合もありますので、指示に従いましょう。テーブルの上には絶対に置かないようにしてください。
避けるべきNG例
- 勢いよく置く: ドンと大きな音を立ててバッグを置く所作は、ガサツな印象を与えます。
- テーブルの上に置く: 食事や会話の妨げになるだけでなく、不衛生な印象を与えることもあります。
- 通路や人の邪魔になる場所に置く: 周囲への配慮に欠けると見なされ、品格を損ないます。
- 椅子の上に無造作に置く: 特に飲食店の椅子など、他の人が使う場所に無遠慮に置くのは避けましょう。また、ビジネスシーンでは基本的には適切ではありません。
- バッグの中身が散乱している: 必要以上にバッグを開けたり、中身を探したりする姿は、落ち着きがない印象を与えます。
まとめ
バッグの扱い方は、日常の小さな所作ですが、あなたのビジネスパーソンとしての品格や周囲への配慮を示す重要な要素です。静かに置く、適切な場所に置く、スペースに配慮するといった基本的な動作を意識するだけで、相手に与える印象は大きく変わります。
これらの所作は、一度意識すればすぐに実践できるものです。日々のビジネスシーンでバッグを持つたびに、少しだけ意識を向けてみてください。美しいバッグの扱い方を身につけることは、あなたの立ち居振る舞いをさらに洗練させ、良好な人間関係やビジネスの成功にも繋がることでしょう。